家は問う

おじいさんが、何気なく話されました。
「俺は八女から来とるとやん。八女に家のある。小屋とね…」
今は誰か住んであるんですか?
「いいやぁ…爺さんたちももうおらんけん、誰もおらんやろう」
空いとるなら、勿体無かですね。
「んん…見に行っとらんけん、どげんなっとるやか…」

もう随分長く離れた家のことを、たどたどしい口調で、思い出したかのように話されます。
おじいさんの ”爺さんたち” は、もうきっと遠い昔にいないはず。だけど、家を守るのは昔から ”爺さんたち” だったんだと感じます。それを見て育ち、家を気掛ける心を養うのでしょう。
昔から、私たちが心を育む場所。それだけに無意識のうちに大切なものとなる。
一生懸命過ごしている内は、毎日目の前に在るのになかなか見えないものですが、ある時、感謝と共に形となって表れる。

それが「家」なのかもしれない。 

  

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