
私は、看護師として30年ほど医療に従事してきました。出生から臨終まで携わってきましたが、何年も続けているうちに、家族のあり方に対する考え方が徐々に変わってきたことを実感しています。また、ここ数年、古民家再生協会との関りを持つようになり、「住まい方」と「人の心身の健康」の大きな関連に気づかされました。
ひと昔前までは、自宅で息を引き取ることが当たり前だったような気がします。現在ではほとんどが病院での臨終です。*今のコロナ渦では臨終に家族が立ち会うこともできません。施設入所される方も、本当は家に帰りたい、家で最期を迎えたいと話される方々もいらっしゃいます。その最後を迎える家が、ビニールクロスや合板の工業製品まみれの家ではいけないと思っています。簡易的な造りの家の中にVOCだらけの建材、それを補うように機械で空調を管理する。こんな家の中で生活することで、無意識のうちに生き物としての身体能力や人間としての精神活動を手放す結果となる気がしてなりません。同時に年々進化する便利さも問題なのではと思います。例えばデジタル・バーチャル化を優先した生活では筋肉の衰えが加速し老化が早まります。映像情報だけでは五感の刺激は得られません。
日本という国は、工業製品で家を造ることで経済は成長し、豊かさを得ました。また技術の発達により、簡便さも向上しました。しかしこういった環境での生活を続けることで、失ってしまったものの方が多く、逆にそちらの方が大事なのではないかと考えるようになりました。こういった意識を持って「住まい造り」から「住まい方」を考えていきたいと思います。
学校長 石原 恵子
学校名 | 群馬校 |
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学校長 | 石原 恵子 |
住 所 | 群馬県伊勢崎市市場町1-2-3 |
連絡先 | TEL:0270-50-0820 FAX:0270-50-0821 |